2020年6月18日に薬価収載が官報告示され、その中に「アボルブ」の後発医薬品として「デュタステリド」の名前が掲載されていました。
【厚労省】後発品415品目を薬価収載‐「メマリー」に22社が参入
医療機関関係者では馴染み深い「薬価収載」という言葉ですが、普通の一般企業で務めていると、触れる機会の少ない言葉になります。間違った認識をしてしまわないように注意が必要です。
公的な医療保険(国民健康保険)が適用される医薬品の価格は、すべて国(厚生労働大臣)が決めており、どの病院でも医師が患者に処方する薬の価格は一定金額になります。
薬局で販売されているような、個人で自由に購入することができる薬は「OTC医薬品」と言い、これらの価格は製薬会社が自由に金額を設定することができますが、医療機関で医師が患者に対して処方する薬を医療医薬品と言い、国が価格を定め「薬価基準」に収載されます。
ここからわかるように、薬価収載されたということは、国民健康保険の適応になった薬であるということです。
では自由診療であるAGA治療でも使用されるデュタステリドの薬が、保険適応になったかというと、そうではありません。
今回収載された薬名は確かにデュタステリドの成分を使われている薬ですが、AGA治療薬の「ザガーロ」ではなく、前立腺肥大症治療薬の「アボルブ」という薬です。
【病院で発毛相談】AGA新薬の「ザガーロ(デュタステリド)」の効果と副作用とはでも触れているように、デュタステリドの薬は前立腺肥大症治療の治療薬として、2001年にアメリカの厚労省にあたるFDA(食品医薬品局)に承認され、「アボダート」という名前で販売されていました。
その後前立腺肥大症治療の治療薬のアボルブ、アボダートという製品名ではなく、AGA治療薬のザガーロがグラクソ・スミスクライン株式会社から発売された経緯があります。
保険適応になったという事は喜ばしいことですが、裏を返せば「医師による診断のもと、処方してもらう必要のある薬である」ということです。「個人輸入でデュタステリドのジェネリック薬がコスパ最高!」などという口コミもありますが、医師の診断を受けて安心して服用するようにした方がいいでしょう。