名古屋大学は2020年7月16日、AGA(男性型脱毛症)の治療薬であるミノキシジルが、LIPH遺伝子変異による先天性乏毛症、縮毛症に対して有効であることを証明したと発表した。同大学医学系研究科 教授の秋山真志氏らと藤田医科大学との研究グループによる成果だ。
研究グループは、2016年8月より名古屋大学医学部付属病院において、LIPH遺伝子変異による先天性乏毛症、縮毛症に関して、1%ミノキシジルローション外用の特定臨床研究を開始。小児5人を含む8人の患者に対して、有効性と安全性を評価した。その結果、8人全員に効果を示し、そのうち4人は高い有効性を示した。
また安全性評価の結果、頭皮の乾燥、多毛、逆まつげなどの軽度の副作用は見られたものの、重篤な副作用は認められなかった。
生まれつき髪の毛の量が少なく縮れ毛である先天性乏毛症、縮毛症は、日本人の約100人に2人の割合で遺伝子変異を有する遺伝性疾患だ。これまで先天性乏毛症、縮毛症に対する有効な治療法は確立していなかった。なお、ミノキシジルの外用は、安全性などを確認する小児を対象とした大規模臨床試験が実施されていないため、現状では小児への使用については厚生労働省の承認を受けていない。
管理人コメント
AGAは早いと10歳代、遅い場合は50歳代、60歳代で発症するケースもみられますが、20歳代以降に発症するケースが一般的です。しかし先天性乏毛症や縮毛症は乳幼児のころから発症してしまうものです。
今回のレポートでは乳幼児8人と母数は少なく、またミノキシジルの乳幼児への使用は厚生労働省の承認を受けていません。認可を受けていないので、副作用の発症などの安全面では臨床数不足と言っていいでしょう。
ですが有効性が確認とれ、厚生労働省の認可も得られて商品化すれば、乳幼児の乏毛症や縮毛症だけではなく、10代で発症してしまった場合のAGA(男性型脱毛症)への対策も可能になるかもしれません。