AGA治療で用いられる成長因子の1つ、ヒトオリゴペプチド-13について解説していきます。
もともと再生医療分野の技術を応用した成分で、細胞増殖因子としても知られています。ヒトオリゴペプチドの中でもコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸など、真皮の成分を作り出すのがヒトオリゴペプチド-13です。
ヒトオリゴペプチド-13とは?
英語表記:Human Epidermal Growth Factor-13
最近、様々なメディアで紹介される機会が増えているのが「成長因子」とよばれるたんぱく質です。人間の成長と代謝に作用し、体の機能を調整する重要な役割を担っています。
微量で細胞の成長・増殖を促進する一群の物質。細胞成長因子,細胞増殖因子,あるいは単に増殖因子とも呼ばれる。医学やバイオテクノロジー関係ではおもに動物細胞の成長因子をさす。日本組織培養学会ではこれを細胞成長因子と呼び「in vitro (人工的な環境での反応系) in vivo (生体内での反応系) において動物細胞の成長を促進するもので,栄養物質ではないもの」と定義している。
ブリタニカ国際大百科事典
人成長ホルモンは、脳下垂体前葉で作られていますが、加齢によって減っていきます。様々な研究により、加齢と共に減ってしまう人成長ホルモンを活発化する物質があることが判明しています。それが、成長因子や増殖因子と呼ばれている物質です。
成長因子の種類は多いのですが、美容成分に関する成長因子は女性から大きな注目を集めており、特に注目されているのが、ヒトオリゴペプチド-13(FGF-1)です。ヒトオリゴペプチド-13(FGF-1)は、線維芽細胞成長因子のことであり、線維芽細胞を活発化して増殖を促進させます。線維芽細胞は、肌の弾力を保つために必要となる、エラスチンやヒアルロン酸、コラーゲンを生成しています。
FGF-1は、酸性繊維芽細胞成長因子ともaFGFとも呼ばれていますが、正式な名称は、ヒトオリゴペプチド-13です。ヒアルロン酸やコラーゲンは、美容成分として広く認知されており、多くの保湿化粧品に配合されています。ヒアルロン酸もコラーゲンも、真皮で作られていますが、年齢が上がると分泌量が減り、その結果、肌の老化が進んでしまうのです。
ヒトオリゴペプチド-13の主な働きと作用について
ヒトオリゴペプチド-13は人の肌に大きなメリットを与えます。グロースファクターと同じでもあり、人間からつくられるタンパク質の一種です。FGFとはヒトオリゴペプチド-13の別称であり、またの名を線維芽細胞とも呼ぶのです。
■概要
線維芽細胞(fibroblast)は、結合組織を構成する代表的な細胞の1つで、塩基好性を示す。組織内では、膠原線維束の長軸にそって存在し、細胞質突起を多数保持した扁平ないし紡錘形の細胞である。楕円形の核を有し、ゴルジ装置や粗面小胞体が豊富で、細胞外基質合成の盛んな場所(創傷治癒部など)では特に発達している。活動期にあるものをfibroblast、休止期のものをfibrocyte(線維細胞)という。変異型として、原形質内にアクチンフィラメントが増加しているものを筋線維芽細胞(myofibroblast)というが、光顕的区別は難しい。
一般社団法人 日本血栓止血学会 / 用語集(詳細説明)線維芽細胞
間葉系幹細胞から分化する比較的未分化な細胞であり(図1)、脂肪細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞に分化能もあるとされ、最初のiPS細胞樹立には線維芽細胞が使用された。成人ではほとんど分裂しないが、必要に応じ分裂する(創傷治癒等)。
ヒトオリゴペプチドは皮膚の中にも存在しており、主な働きは皮膚の修復、新陳代謝、傷の回復などです。また肌に塗布する場合、普通の化粧品やその他の有効成分ならば、表皮に留まり徐々に浸透していきます。それだけではなくヒトオリゴペプチドの場合には、そのまま表皮に留まらずに浸透性が良く、真皮にまで影響を与えてコラーゲンやエラスチンに「変化」をして肌を強化していきますから、とても役立つ成分です。
■機能
一般社団法人 日本血栓止血学会 / 用語集(詳細説明)線維芽細胞
1)細胞間物質の合成:間質の線維成分であるコラーゲン・エラスチン等のほか、ヒアルロン酸やグリコサミノグリカンなどの合成に関与する。
2)貪食作用:大食細胞に劣るものの貪食能力を有する。
3)収縮:筋線維芽細胞は、平滑筋細胞同様、セロトニン、ブラジキニンで収縮し、組織収縮に関与する。
4)コレステロール代謝:腸粘膜固有層、肺、真皮の線維芽細胞様細胞には脂肪滴が存在し、ビタミンAや脂質代謝に関わる。
5)組織因子を発現し血液凝固に関与する。
「主な働きは皮膚の修復、新陳代謝、傷の回復」となると、ヒアルロン酸を思い浮かべる人もいるかもしれません。ヒアルロン酸は、ほうれい線や目の下のたるみ、涙袋といった目元のシワ取り、バストアップなどの美容面や関節炎ドライアイ治療の健康面など、さまざまな用途で利用されています。
近しい働きをしているのでヒアルロン酸とヒトオリゴペプチド-13が似ていると思われがちです。しかしヒアルロン酸とヒトオリゴペプチド-13は、根本的に成分も働きも違います。前者であるヒアルロン酸も人の皮膚に既に存在しており、1グラムで6リットルほどの水分を抱え込む優れた保湿成分です。コラーゲンやエラスチンを補助しますが、ヒアルロン酸は分子量が大きい為、浸透するまでに時間がかかります。
ヒトオリゴペプチド-13は浸透性も良く、肌にあるコラーゲン、エラスチンにストレートに作用するのではなく、肌のなかでコラーゲンとエラスチンに変化するのです。
ヒトオリゴペプチド-13の髪に対しての効果
ヒトオリゴペプチドは最近、スキンケアやヘアケア製品にも含まれるようになりました。ヒトオリゴペプチドの中でも「ヒトオリゴペプチド-13」は成長因子の一つです。成長因子とは肌や組織の細胞に働きかけて、新たな細胞を増殖・再生することで皮膚などの成長を促し、潤いのあるハリ肌にすることができます。では、そんなヒトオリゴペプチド-13は髪に対してはどのような効果があるのでしょうか。
まず、加齢が原因で薄毛になってしまうのは。年齢を重ねるとともに髪にハリやコシが低下していきます。さらに頭皮環境が乱れ、血行が悪くなり肌のターンオーバーが乱れてしまうことが原因の一つです。
血行が悪くなると毛母細胞を活性化させる「毛乳頭細胞」に栄養が行き渡らなくなり、髪の毛の細胞を作る「毛母細胞」の働きが低下してしまいます。そのため抜け毛や薄毛になり、髪質のハリやコシが減少してしまうのです。
そして、ヒトオリゴペプチド-13には血行促進効果があり、それにより毛乳頭に栄養を行き渡らせて、毛母細胞を活性化することができます。それにより、薄毛・脱毛を予防・改善し、潤いとハリのある髪質にする効果が期待できるのです。
このようなことから、加齢とともに増えてきた抜け毛や薄毛、髪質の変化などに悩んでいるなら、ヒトオリゴペプチド-13を配合したヘアケアがおすすめです。
ヒトオリゴペプチド-13の安全性について
ヒトオリゴペプチド-13はどのような成分であり、またその成分についての安全性についてはどうなっているのでしょうか?
ペプチドは、タンパク質を構成する最小単位であるアミノ酸が2個以上結合したもののことです。アミノ酸は、タンパク質をつくる材料になります。
ヒトオリゴペプチド-13は、人の体内で作られるたんぱく質の一種でFGF(繊維芽細胞成長因子)と呼ばれており、主な機能は皮膚内の真皮と呼ばれる部分の各種細胞に成長を促す機能です。中でも真皮の中に存在しているコラーゲンや、エラスチンの生成をサポートしてくれる働きもあります。
安全性については基本的には確立されています。医薬品と比較した場合、医薬品と比較して副作用が少なくアレルギー反応が抑えられているというメリットがあります。FGFに限らずペプチドは、培養細胞を使用して得られた実験データから効果を確認されています。研究を積み重ねるとともに、安全性についても充分考慮されてから、さまざまな医療技術や化粧品に使用されているので安心していいでしょう。
国内の商品を買う限りは、まず問題になる事はないといえます。安全性に関しての情報も明示しており、各メーカーのホームページで公開されるなどの配慮をとっていますので安全です。どうしても気になる人はパッチテストを行うと良いでしょう。