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薄毛や白髪の仕組みが解明!鍵を握る「17型コラーゲン」とは?

東京医科歯科大学研究チームの西村栄美教授らが、加齢による薄毛や白髪になる仕組みは毛包幹細胞(※)中の「17型コラーゲン」の減少に原因があることを解明し、2月5日に米科学誌サイエンスへ発表しました。

この研究チームでは、「毛包幹細胞(※)」に着目し、その毛包幹細胞(※)が生まれてから死滅すつまでの一生を追跡する研究の中で、毛包幹細胞が年を取り活動能力が低下することで、徐々に毛包が縮小し、同時に「17型コラーゲン」量も減少することが明らかになりました。

「毛包幹細胞も色素幹細胞も、17型コラーゲンがなくなると、未分化性を維持できずに分化してしまいます。そうなると、幹細胞自身が枯渇するため、その子孫細胞で毛や色素を作り出す細胞を増やせない。脱毛も白髪も進んでしまうということです。ただし、17型コラーゲンが、毛包幹細胞でのみ産生されるもので、色素幹細胞では産生さえれません。17型コラーゲンが欠損している場合でも、毛包幹細胞に17型コラーゲンをもどしてやれば、白髪にもならず毛も抜けないのです」

白髪や脱毛の要因となる幹細胞を探る / Bloom! 医科歯科 No.12 16p-17p

それに伴い毛髪自体がどんどんと細くなりミニチュア化し、最終的にその毛根からは新しい髪の毛が生えなくなってしまうことが分かり、「17型コラーゲン」量の減少と薄毛の進行が密接に関係があることが明らかになりました。また、白髪に関しても「17型コラーゲン」量が減少することで、毛包内の色素幹細胞の色素細胞の供給量が減り、白い髪の毛が増加していきます。

今回、毛包幹細胞が17型コラーゲンを高レベルで発現しており、毛包幹細胞の幹細胞性を維持するという役割を持つと同時に、毛包幹細胞が色素幹細胞のニッチ細胞として機能するためにも必須であること、これらの役割により白髪と脱毛を抑えていることが判明しました。

 毛包幹細胞が色素幹細胞を維持する仕組みを解明 / 国立大学法人東京医科歯科大学難治疾患研究所

なお、毛包幹細胞(※)は髪の毛を生み出して成長させるのが頭皮中にある「毛包」という器官の中に存在します。歳を取ることで毛包が縮小し活動自体が鈍くなることで、白髪や薄毛などの脱毛症状が進行しますが、この「毛包」が縮小する仕組みの中で、老化により毛包幹細胞のDNAが損傷し「17型コラーゲン」を分解する酵素量が増加、それに伴い17型コラーゲン量が減少していくと毛包が小さくなっていくという相関関係が明らかになりました。

西村栄美教授は、毛包幹細胞のそばに色素幹細胞が潜んでいることを発見し、白髪になるシステムを解明した。<中略>そしてその予防方法について、西村教授にお話をうかがった。

17型コラーゲンは毛包幹細胞の維持に必須

マウスの寿命は普通24~34カ月ですが、長生きする野生型マウスの毛包を12カ月、24カ月、28カ月と長い時間をかけて調べました。その過程で毛包自体がどんどん小型化、ミニチュア化していきました。ヒトでも毛包のミニチュア化は男性型脱毛症が進行すると見られますが、加齢でも同じように毛包のミニチュア化が進むことが分かりました。

なお、17型コラーゲンが失われない様に遺伝子操作したマウスを用いた動物実験では、通常のマウスに比べて2歳の段階で遺伝子操作されていないマウスに比べて、1.4倍の毛穴が確認され、加齢による脱毛が明らかに抑制されたことから、今後17型コラーゲンを利用した脱毛治療薬の開発が期待されています。

毛をつくる幹細胞を維持する17型コラーゲンの役割を解明した / アデランスの研究開発

そして、毛包のバジル領域には毛包幹細胞と色素幹細胞が存在しますが、それらを維持するのに重要な役割を果たしていたのが17型コラーゲンです。この17型コラーゲンも加齢とともに減っていく毛包が増えていたのです。

※毛包幹細胞とは・・・毛包中にある自己を複製する機能や、様々な細胞(器官)に分化する能力(多分化能)を持つ特殊な細胞のことです。最先端医学である「再生医療」に積極的に用いられています。

薄毛の鍵を握る「17型コラーゲン」とは

テレビやニュースで話題になった17型コラーゲンの特徴や性質、その効果などを分かりやすく解説していきたいと思います。なお「BP180(ビーピー ワンエイティ)」と呼ばれることもあります。

・17型コラーゲンの役割

細胞の結合組織(ヘミデスモソーム)を構成する成分で、頭髪の白髪化と脱毛を抑える役割を担っています。先天的脱毛症の人によっては、17型コラーゲンが欠損している可能性があるという研究結果もあります。

ヘミデスモソームの構成分子の一つ。表皮においては基底細胞が発現する膜貫通性蛋白。その先天性の欠損により表皮真皮接合部が不安定化し、接合部型表皮水疱症を発症し、皮膚の萎縮、脆弱性、びらん、色素異常、脱毛などを引き起こす。

皮膚の若さの維持と老化のメカニズムを解明―健康長寿の実現に向けた新しい老化制御戦略に期待― / 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

なお、脱毛症でもAGA(男性型脱毛症)や脂漏性脱毛などの原因にはなりません。あくまでも純粋な加齢による細胞老化による薄毛に関与している点に注意しましょう。

・17型コラーゲンの活用法

研究チームでは今後10年以内には頭皮で17型コラーゲンを用いた治療法を実現化したいとしています。頭皮中で17型コラーゲンを増殖させる薬などが開発されることで、加齢による薄毛に対しての予防策や改善だけでなく、ガンなどの投薬により頭髪を失ってしまった人に対しても髪を取り戻す有効な手段になる可能性があります。

17型コラーゲンのサプリの効果とは

残念ながら17型コラーゲンはサプリメントなどで経口摂取しても体内で吸収される前に、完全に分解されて別の物質になってしまいます。その為、体外から摂取をしても17型コラーゲンを一切増やすことは出来ませんので、サプリで「薄毛」「白髪」を予防や改善をすることは一切できません。

こういった17型コラーゲンサプリを見かけたら詐欺商品の可能性がありますので十分に注意してください。また、スッポンやフカヒレなどをコラーゲンが豊富といわれる食物を食べても17型コラーゲンが増える訳ではありません。

見つかった物質は、皮膚の最も外側にある表皮の幹細胞に「17型コラーゲン」を盛んに作らせる働きがあり、今後は人での効果や安全性を確認する。一方、今回の研究成果に便乗した化粧品や健康食品の宣伝も懸念されるとして、西村教授は「コラーゲンを塗ったり食べたりしても幹細胞の中では働かない」と注意を呼び掛けている。

四国新聞社 / 皮膚の若さ保つ物質発見/傷の治療や老化防止も 2019/04/04 02:00

今回の研究では「17型コラーゲン」が量の減少が「薄毛」「白髪」に関与することまでは分かっただけですので、具体的な対策方法はこれからの研究で明らかになるはずです。しかし、新しい治療法や薬が開発されたとしても、動物や人体での臨床試験を何年もかけて実施する必要がありますので、気長に待つのが良いでしょう。



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斎藤 裕
斎藤 裕
AGA-DASH編集部ライター。26歳を過ぎて薄毛が気になり10年近く髪の悩みで試行錯誤した経験を元に記事を執筆しています。